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解離性障害

解離性障害とは

解離性障害「解離性障害」とは、「解離性同一性障害」「解離性健忘」などに分けられるもので、自分が自分であるという感覚が失われている状態を指します。
私達の多くは、「自分は自分である」と自身の存在を認識することが可能です。過去からどのように生きてきて、自分がどういった人間なのかが想像できます。
一度「解離」の状態に入ってしまうと、自分の存在を一つにまとめることができなくなり、一時的に記憶や物事をまとめる能力が失われてしまいます。その結果、記憶の一部分が完全に思い出せなくなったり、感覚が麻痺したり、感覚の一部を感じられなくなったりします。
中でも「解離性同一性障害」は、自分の中に複数の別人格がいる状態です。「自分自身では別人格をコントロールできない」という感覚を体験するため、多重人格障害とも呼ばれています。ある人格に交代する時、別の人格の時の記憶はなくなる傾向があります。こういった症状が続いたり何度も現れたりするため、日常生活に大きな悪影響を及ぼしてしまうようになります。うつ病と合併するリスクもあるため、要注意です。

症状によっては専門の医療機関での治療が必要な場合があります。その場合は提携している医療機関をご紹介します。

解離性障害の症状

発症すると、以下のような症状が起こります。

  • 突然けいれんを起こし意識を失う
  • 顔や身体が無意識に動いてしまう
  • 声が出なくなる、呂律が回らなくなる
  • 目がよく見えなくなる、全く見えなくなる
  • 身体が動かしにくい、ぎこちない動きをする
  • 立てなくなる、歩けなくなる
  • 無表情でボーっとしている、声をかけても返答しない
  • 重要な約束を忘れてしまい、全く思い出せない
  • 「気付いたら別の場所にいた」という経験をした
  • 自分がまるでロボットのように感じる、それに対して苦しいと思う
  • まるで別人になったかのように人が変わった
  • こちらからの問いかけに、全く関係のない返しをする

患者様は上記の症状を、決してわざと行っているわけではありません。その発端や原因は、ご本人にとって全然分からないため、とても苦しい思いをされることになります。
心当たりのある症状がありましたら、一度当院へご相談ください。

解離性障害のタイプ別症状

解離性健忘 心的外傷や強いストレスにさらされたのを機に、その出来事の記憶が思い出せなくなる状態です。記憶をフラッシュバックさせてしまうことがあります。
離人症 自分が自分ではない感覚に陥る状態です。自分の意思と身体が切り離され、遠くから俯瞰しているように感じます。
解離性とん走 強いストレスによって急に「自分は誰か」という意識が失われてしまう症状です。何も言わずに家出してしまったり過去の記憶が思い出せなくなったりするケースもあります。
解離性てんかん 強いストレスで意識を失ったり身体が動かなくなったり、感覚が消えたりする症状が起こります。

解離性障害のセルフチェック

解離性障害は強いストレスによって発症すると考えられています。しかし無自覚に症状が生じるため、きっかけや原因が理解できずに苦しみ続ける患者様もいらっしゃいます。

発症しやすい方

解離性障害は、強いストレスをきっかけに起こると言われています。

  • 幼少期に受けた身体的虐待または性的虐待、ネグレクトなど
  • 自然災害などによる心的外傷の重篤化
  • 事故や事件に遭遇するなどの強い情動ストレス
  • 信頼していた人物からの裏切りまたは暴力
  • 意識していない精神的葛藤

上記の経験がきっかけとなり、自覚なしに引き起こされる傾向があるのが特徴的です。
また近年の研究では、「脳の機能障害によって発症するのではないか」という説も提唱されています。

解離性障害の治療

解離性障害は、「急に歩けなくなった」「声が出なくなった」といった身体的な症状が起こるため、内科的疾患ではないかと思われるところからスタートするケースが多いです。
内科的には全く問題がないと分かりましたら、解離性障害と診断されます。
次の項目では、どのような流れで治療を行っていくのかについて解説します。
症状によっては専門の医療機関での治療が必要な場合があります。その場合は提携している医療機関をご紹介します。

早期発見

クリニック解離性障害は、できる限り早めに見つけて治療を始めることが大切です。
早期発見できれば疾患の進行を早く抑えられるため、重症化のリスクも軽減されます。
患者様ご本人は、きっかけとなる強いストレスを理解することができず、自覚しないまま発症する傾向があります。
そのため周りの方々が症状に気付いた際は、医療機関へ相談するのが望ましいです。
内科で検査を受けた結果、内科的疾患がないと分かりましたら、当院へご相談ください。
またうつ病も合併している恐れもあるので、心当たりのある方は早めに受診しましょう。

精神科での治療初期

まずは精神科医が症状についてお聞きし、慎重に観察して治療を始めていきます。
MRI検査や脳波検査などを受けていただき、薬物療法も行いながら身体的原因を解消させていきます。また認知療法などを通して、心的外傷などのストレスを取り除いていきます。また催眠療法で失われた記憶を思い出させ、落ち着いた生活を送れるようにする方法もあります。

薬物療法

解離性障害そのものに有効なお薬は存在しません。ただ患者様によって悩みの症状は異なります。その症状に合ったお薬を使っていきます。
薬の調整は難しく、効果が実感できるまで多少時間がかかってしまうこともあります。
この疾患は強いストレスを機に発症すると考えられています。そのため、それらのストレスを取り除き、元々の気質や性格傾向なども探りながら治療を行うことが重要です。
薬物治療は、あくまで治療の補助の役割であるとご理解いただければと思います。
実際、不安や抑うつ症状で悩まされている方も少なくありません。
そういった方には必要に応じて、抗うつ薬や抗精神病薬を処方していきます。また、興奮状態が長引いている場合は、安定剤を用います。

解離性障害とうつ病との関連性

うつ病解離性障害は先述した通り、内科的な疾患が見られないのにもかかわらず、話せなくなる、歩けなくなる、突然意識を失うといった症状が現れる疾患です。
患者様ご本人は、その原因が全く分からないため、辛い思いを抱えてしまうようになります。
「また同じようなことをやったらどうしよう……」と不安に駆られてストレスが溜まり、うつ病を発症してしまう方もいらっしゃいます。
また、近年のうつ病は「新型うつ」「現代型うつ」などと呼ばれるタイプも出てきています。これらは、医学的には「非定型」と呼ばれているタイプです。従来のうつ病とは異なり、気分の浮き沈みが激しいという特徴を持っています。
抑うつ症状をはじめ、物を壊す、浪費する、激怒するといった行動をとることもあります。
それらの症状から「解離性障害だと思っていたら実はうつ病だった」というケースもあります。